仙台市太白区長町駅前の矯正歯科  
仙台駅から電車で5分
長町駅前 徒歩1分

Column

下顎前突(反対咬合、うけ口)について解説します

前回のコラム”不正咬合の種類と早めの相談をおすすめする歯ならび・かみ合わせ解説します“において要注意の歯ならび・かみ合わせとして挙げた、下顎前突・交叉咬合・鋏状咬合のなかで下顎前突について解説していきます。

下顎前突(反対咬合、うけ口)とは

日本矯正歯科学会のガイドラインでは、”下顎前突とは「反対咬合で、前歯3歯以上の逆被蓋」または「上下顎前歯が逆被蓋を呈する上下顎歯列弓関係の不正を総称するもの」であるとされ、Ⅲ級の大臼歯関係や臼歯部交叉咬合を伴うことが多い”と説明されています。

下顎前突の歯ならびイラスト

専門用語を使わないように書くと”下顎前突とは「前歯が3本以上反対に咬んでいること」または、「良くない上下の歯ならびの位置関係のなかで前歯が反対に咬んでいるものの総称」で、下の第一大臼歯(6歳臼歯)が上の第一大臼歯よりも前に位置すること、奥歯の反対咬合もあることが多い”となります。
うけ口、反対咬合というと前歯が反対になっている状態を思いう浮かべることが多いと思います。前歯だけでなく見えにくく、気づきにくい横の歯や奥歯の反対咬合(交叉咬合)もありますのでご注意ください。

なお、反対咬合については以前は厚生労働省のeヘルスネットに反対咬合の項目があり、別表現として「受け口」が示されており「一般的には前歯が反対に咬んでいる状態を示します。」とされています。このコラムの内容と重なりますが、症状や注意点なども書かれているのでご一読をおすすめいたします。

下顎前突の原因

下顎前突には骨格に原因がある(骨格性)のものと歯に原因がある(歯性)のもの、両方が混在するものがあります。
骨格に原因がある場合は、上顎骨(上あごの骨)に対し下顎骨(下あごの骨)が前にあります。頭の骨全体としてイメージしたときに、眉間あたりに対し上顎骨が後方にあり下顎骨が前後的に標準的な位置にある場合、上顎骨が前後的に標準的な位置にあり下顎骨が前方にある場合のいずれも、上顎骨に対して下顎骨が前にあるために症状としては下顎前突となります。
歯に原因がある場合は、上下のあごの骨は前後的に標準的な位置関係にありますが、歯の傾きやあごの骨のなかでの歯の位置が主な原因で噛み合わせが逆になっています。

成長期の下顎前突に注意しなければならない理由

成長期は骨の成長大きいために骨格への影響が生じやすい時期です。この時期に噛み合わせの不正があると骨格の成長へ作用してしまうことがあります。そのため、歯性の反対咬合が骨格性の下顎前突や骨格の歪みを生じる可能性があります。
口を閉じるときに上下の前歯が接触して下あごを前にずらして咬んだり、上下の前歯や奥(横)の歯が接触し横にずらして咬むような状態(歯の早期接触による咬合干渉がある状態)であれば要注意です。
特に奥の方の歯の反対咬合は見えにくく気がつきにくいため要注意の歯ならび・かみ合わせとなります。

下顎前突の治療方法

成長期の矯正治療(こどもの矯正治療)では、成長のタイミングを考慮して骨格へのアプローチを行います。下あごの骨の成長が大きい場合は下あごの成長の抑制、逆に上あごの成長が小さい場合は上あごの成長促進を行います。必要と考えられる成長の抑制や促進の程度により顎外装置(ヘッドギア、チンキャップ等)、機能的矯正装置(フレンケル、バイオネーター)などの装置を使用します。また、歯の反対咬合や叢生(歯の凸凹)を伴う場合はを、前述の歯の早期接触による咬合干渉の解消(顎の位置がずれる原因となっている歯の位置の修正)や、骨格へ作用する装置の装着をしやすくするために部分的にブラケットを装着して歯ならびの矯正を行います。
成人期の矯正治療(大人の矯正治療)は、身長の変化や手のレントゲン写真などから骨の成長がほぼ終了したことを確認して行います。そのため上下のあごの骨の位置関係が定まっている状態での治療となります。そのため、上下のあごの骨の位置関係を変えることができません。骨格の前後的な不調和がある場合は、上の前歯を前方に下の前歯を内側に傾ける必要があります。あまり大きく歯を傾けると歯根(歯を支える根)が歯槽骨(歯ぐきの骨)からはみ出してしまうので歯槽骨に収まるように、物を咬んだときに無理な力がかからないように歯を並べていきます。
また、顎の骨の位置のずれが大きい場合は、矯正治療のみで安定した噛み合わせを作ることが困難であごの骨に対する外科手術をともなう治療をおすすめすることがあります。

歯ならびやかみ合わせに気になることがあればお気軽にご相談ください。

上部へスクロール